「冷蔵庫が冷えにくい」と感じるようになったら、まずは原因を突き止めることが大切です。ドアの開けっ放しなど使い方が原因の場合もありますが、冷蔵庫が故障していることも考えられます。迅速に原因を究明してどのような対応が必要なのかを明らかにすることで、自分で対処できるのか修理を依頼するのか、新しい冷蔵庫を購入するのかなど解決方法が見えてきます。そこで今回は、冷蔵庫が冷えないと感じたときの原因や確認すると良いポイントをご紹介します。
液体は気体へと変化するとき、周囲の熱を奪って冷やす性質があります。反対に液体に変わるとき、気体は周囲に熱を放って温める性質を持っています。冷蔵庫でものを冷やす仕組みにはこの原理が利用されています。
冷蔵庫の中に張り巡らされた管の中には「冷媒」という流動性の高い物質が循環しており、冷媒が気体と液体に変化しながら冷蔵庫や冷凍庫の中身を冷やしています。冷媒が気体と液体に変化するための基点となる機器を「コンプレッサー」と呼びます。
冷媒はコンプレッサーを通過する際に液体から気体となって冷蔵庫の庫内を冷やし、外部に出て行く際に再び気体から液体となって熱を放出します。この動作を繰り返すことにより、ものを冷やすのが冷蔵庫の仕組みです。
冷蔵庫が冷えないときに考えられる原因は数多くあるため、一つひとつ思い当たる出来事がないかどうかを確認していく必要があります。主な10個の原因をご紹介します。
案外見落としやすい原因のひとつとして、冷蔵庫のコンセントが抜けているか中途半端に差し込まれている状態にあるケースが挙げられます。
抜けかけているようであれば安全を確認してから奥まで差し込んで、庫内の照明が点灯するかどうかを確かめましょう。
照明がつくようなら通常どおり冷却が開始する可能性が高いため、そのまま待って冷えるかどうか様子を見ます。
コンセントが原因ではないようなら、ブレーカーが落ちていたりエコモードが設定されていて十分に冷却機能が働いてなかったりする可能性も考えられます。温度設定も併せて確かめることが大切です。
ドアが長時間開けっ放しになっていると、隙間から冷気が逃げて庫内が十分に冷え切らずに温度が高い状態になってしまいます。
ドアが開いていた可能性がないかどうか、振り返ってみましょう。
たとえば閉めたつもりでも庫内のものが引っかかっていたり、食品が冷凍室の後ろに落下して詰まることで閉まりきらなかったりするケースはあります。
ドアが閉まらないと冷気が逃げるだけでなく、室内の暖かい空気を取り込むことで霜の発生の原因にもなるため注意が必要です。
特に湿度が高い季節は霜がつきやすくなるため、開ける回数はできる限り少なくし、一回一回の開閉を手短に済ませるように意識しましょう。
庫内に限界までものを詰め込んでいると、冷気の流れが滞って十分な冷却効果を発揮できなくなります。必要以上に詰めすぎないことが大切です。
加えて、水分は凍って霜となります。大量の食材を一度に詰め込むことや生鮮食品をラップで覆わずに入れること、粗熱が取れていない食品をそのまま収めることなどは避けましょう。食品を冷蔵庫に収納する際は、水気を切ってラップなどで覆うなどの工夫が大切です。
しかし、冷凍室の場合はできる限りものを多く詰め込んだ方が温度を低く保ちやすくなるといわれています。凍った食材が低温の維持を助けてくれるので、ものを冷やすために費やす電力を少なく抑えられることが理由です。
ドアの開閉に支障がでるほどの入れすぎは禁物ですが、節電効果も期待できますので冷凍室には程よく食材を入れておくと良いでしょう。
ドアを開けっ放しにすることだけでなく、開け閉めが頻繁な場合も庫内の温度が上がりやすくなるため気をつけましょう。
何度も開け閉めを繰り返したり、開けっ放しにしたまま食材を出したりしまったりすると、庫内の温度が下がるタイミングがないまま一方的に上昇を続けてしまいます。
一旦上がりきった庫内を再び適正な温度に下げるまでには長い時間と多くの電力が必要になるため、一回あたりの作業時間はなるべく短く抑えることが大切です。
冷蔵庫の周囲に十分な隙間がないと、放熱できずに熱が庫内にこもったままになってしまいます。取扱説明書に記載の設置目安を確認してみましょう。
壁と近づきすぎていないかどうかをあらためて確認してみましょう。冷蔵庫の側面や裏側が極端に熱を持っているようであれば、十分に放熱できていない可能性が疑われます。
壁から少し離して設置し、放熱する余裕を持たせてから冷えるかどうか様子を見ます。
加えて直射日光にさらされる場所やオーブン、ガスコンロなどの熱を発生させるものの近くに置いている場合も冷えにくさの原因となる可能性があるため、冷蔵庫の設置場所には十分に配慮しましょう。
冷蔵庫の吹き出し口に霜が付着すると、冷気が上手く循環せず冷却が難しくなります。霜がついてしまった場合は一度温めて霜を取る必要があるため、冷蔵庫の取扱説明書を確認して指定の手順で対応しましょう。
霜の付着は庫内の温度上昇によるものだと考えられるため、日常的に庫内の温度を維持するように工夫することが大切です。霜取りについてはドライヤーを使用して溶かす方法が紹介されるケースもありますが、危険性が高いためおすすめはできません。
冷蔵庫の中には温度を調節できるものもあり、温度設定が高い状態のままであるために十分に中のものが冷えていないことも考えられます。
たとえば「弱・中・強」の3種類が設定されているなら「弱」になっていないかを確認し、弱の場合は中や強に変更して冷えるかどうかを確認しましょう。
コンプレッサーで圧縮した冷媒を液体に戻して放熱するための、コンデンサーが故障しているケースも考えられます。
放熱できないことが原因で庫内が高温になり冷えていない可能性もあり、この場合は修理を検討する必要があるでしょう。
庫内のものを冷却するための装置が故障してしまうと、根本的な冷却機能が働かないため冷却効果は期待できません。
前述の確認事項のどれにも問題が見られない場合は、ファンやコンプレッサーなどの故障を疑いましょう。
冷却装置の故障が原因であれば自分で修理することは難しいため、専門業者やメーカーへ修理を依頼するケースが一般的です。
冷蔵庫を購入してから長い時間が経過している場合、寿命を迎えている可能性も考えられます。
各種部品や冷却装置が経年劣化によって正常に働かなくなり、これまでどおりの冷却機能を維持できなくなると冷蔵庫が冷えないと感じるケースが増えてくるでしょう。
冷蔵庫の寿命について以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご覧ください。
冷蔵庫の寿命はどれくらい?平均使用年数や長持ちさせるコツを徹底解説!
冷蔵庫を修理する際に必要な情報は、主に4つあります。
「冷蔵庫の製造メーカーと商品名」「冷蔵庫の製造年と型番」「購入した日付」「どのような状況が発生しているのか」を確認し、サポートに連絡した際にスムーズに伝えられるようにしておきましょう。
保証書が手元にあれば商品情報を確認できますが、見当たらない場合は冷蔵庫内に貼りつけられている製品の詳細情報が記載されたシールを確認する方法もあります。
メーカー保証の期間内であれば無料もしくは安価に修理できる可能性があるため、保証期限が有効かどうかも併せて確認することが大切です。
冷蔵庫の修理は故障原因によっても修理代が大きく異なるため、事前に見積をとって確認しておくことが大切です。
コンデンサーやコンプレッサーなど冷却機能の中枢が故障すると、修理費が高額になる可能性も十分に考えられます。
寿命の場合でも故障箇所の部品交換や修理で対応することも可能ではありますが、さまざまな部分が経年劣化しているために他の部分も次々と修理しなければならなくなる可能性もあります。そのため、買い替えの方が結果的には費用を安価に抑えられることがありえます。
冷蔵庫が冷えない原因の多くは自分で対処できるものが多く、コンセントが抜けていたりドアを開け閉めしすぎていたりと、日頃から注意すれば回避できる原因がほとんどです。
庫内の清掃などのメンテナンスも含めて、注意深く丁寧に扱うことで冷えない問題を解消できるでしょう。
しかし、中には冷却機能などの故障が原因となっているケースも考えられます。
その場合は基本的に修理を依頼する必要がありますが、寿命であれば買い替えた方が結果的に費用を安価に抑えられる可能性も高いです。そのため、長年使っている冷蔵庫であれば買い替えを検討することをおすすめします。