冷蔵庫には大小さまざまな容量がありますが、それぞれが何人向けなのかご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。本記事では300L台の冷蔵庫に着目し、何人向けなのかをはじめ、おすすめ製品もご紹介しているので、ぜひご覧ください。
利用人数を基にした冷蔵庫の容量の目安は、一般社団法人日本電機工業会が開示している「冷蔵庫 目安容量計算式」をもとに算出できます。計算式は、「容量=(70L×人数)+(常備品容量[120L〜170L])+(予備スペース[100L])」となり、この計算式によると、2人家族の場合は360L〜410L程度、3人家族の場合は430L〜480L程度の冷蔵庫が適しているといえます。
ただし、自炊の有無や食料品・飲料品のまとめ買いの頻度など、ライフスタイルによって適切な容量は異なるため、3人のご家庭でも300L台の冷蔵庫で十分な場合もあります。そのため、あくまでも目安になりますが、300L台の冷蔵庫は利用人数が2〜3人の場合に使用するのが望ましいといえます。
では、300L台の冷蔵庫を選ぶ際には、どのような点に着目するとよいのでしょうか。以下で8つのポイントをご紹介します。
冷蔵庫を選ぶ際は、搬入経路・設置場所の幅や高さを考慮することが大切です。搬入経路や設置場所よりも大きいサイズの冷蔵庫を選んでしまうと、搬入ができず、結果として設置ができなくなってしまいます。そのため、搬入経路・設置場所の幅や高さ、奥行きはあらかじめ測定しておき、その数字を踏まえた上で適したサイズの冷蔵庫を選びましょう。
一般的に、搬入する際に必要な最低限の幅・高さは、おおよそ冷蔵庫の大きさ+10cmとしているところが多いようです。こちらの幅・高さを確保できるかあらかじめ計測しておきましょう。
また、冷蔵庫を選ぶ際は、設置場所の幅・高さ・奥行きよりもひと回り小さなサイズを選ぶようにしましょう。
もし、設置場所にぴったりなサイズの冷蔵庫を選んでしまうと、壁やそのほかの家具との距離が近すぎて放熱スペースを確保できなくなり、うまく熱を逃がせず冷えづらくなってしまう可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、冷蔵庫を選ぶ際は「放熱スペースを確保できるかどうか」を考慮してサイズを選ぶことが大切です。
300L台の冷蔵庫を選ぶ際は、ライフスタイルを考慮することも大切です。
たとえば、自炊をよくするご家庭の場合、食材の買い置きが多くなるため300L後半の冷蔵庫を選ぶのがおすすめです。反対に、自炊をほとんどしない場合は食材を買い置きする機会は少ないので、300L前半の冷蔵庫でも十分かもしれません。
作り置きの有無や家族が増える予定など、ライフスタイルは人によってさまざまなため、適した冷蔵庫の容量も変わってきます。まずは、普段どれくらいの食材や飲料を買っているか、保管しているかを確認してから選ぶようにしましょう。
冷蔵庫のドアの開き方は、主に「右開き」「左開き」「両開き」「観音開き」の4つがあります。
「右開き」「左開き」の冷蔵庫は、片側だけに開く仕様です。「観音開き」はフレンチドアとも呼ばれドアが2枚になっており、真ん中から左右に開けることができるタイプです。「両開き」は、1枚のドアを左右どちらからでも開けることができるものになります。
300L台の冷蔵庫の場合は、右開きか左開きのタイプが比較的多いようですが、「設置したとき、壁側に向かってドアが開く冷蔵庫」を選択するとよいでしょう。食材や飲料品を取り出しやすくなるほか、料理の際に動線を確保できるので家事をスムーズにこなせるようになります。
なお、300L台であっても、両開きまたは観音開きの製品も、中にはあります。引っ越しが多いご家庭であれば両開きの冷蔵庫を選ぶことで設置場所の選択肢が広がり、どのような間取りのキッチンでも設置しやすくなります。
このように、ドアの開き方も冷蔵庫を選ぶ上で重要なポイントになるため、購入する際に確認しておくことが大切です。
冷蔵庫を購入する際は、庫内の広さを確認しておくことも重要です。 300L台の冷蔵庫は、冷蔵室・冷凍室に分かれた2ドアタイプ、もしくは冷蔵室・冷凍室・野菜室に分かれた3ドアタイプであるものが比較的多いようです。
2ドアタイプよりも3ドアタイプのほうが、ひとつひとつの庫内は小さくなりますので、たとえば冷凍室は広めのほうがよい、という方は2ドアタイプの製品を選ぶとよいでしょう。一方で、野菜室もほしいという場合は、野菜室が付いている3ドアタイプの製品を選ぶことになります。
ご自身のライフスタイルに合わせて、庫内の広さとドアの数を確認することをおすすめします。
冷蔵庫を選ぶ際は、冷凍室と野菜室の位置も確認しましょう。
たとえば、自炊をあまりせず主に冷凍食品を使用する方は、冷蔵庫の真ん中に冷凍室があると出し入れしやすくなります。反対に、自炊をよくする方で野菜を多く使用するのであれば、冷蔵庫の真ん中に野菜室があると食材を出し入れしやすくなるでしょう。
頻繁に使用する部屋が一番下にあると、食品の出し入れをするたびにかがまなければなりません。その点、よく使用する部屋が真ん中にあれば必要なものをサッと取り出せるため、使い勝手がさらによくなります。
冷蔵庫は、24時間365日電源を入れっぱなしにする家電製品です。そのため、「電気代を抑えたい」という方は、冷蔵庫を購入する前に消費電力を確認するようにしましょう。
冷蔵庫の消費電力は、日本工業標準調査会(JIS)が定めた「年間消費電力量」で確認できます。
年間消費電力量とは、「特定の条件下でその製品を1年間使用した場合、どのくらいの電力を消費するか」を数字で表したものです。この年間消費電力量の数字が低いほど、電気代の節約につながりやすいといえます。
たとえば、氷を使う機会が多い方は「自動製氷機能付きの冷蔵庫」を選ぶのがおすすめです。
自動製氷機能とは、専用のタンクに水を入れておくだけで自動的に氷ができる機能のことです。完成した氷は貯氷ケースにストックされるため、製氷皿に水を入れて氷ができたらケースに移し、再度水を入れるという手間がかかりません。また、「気づいたら氷がなかった」ということも防げます。
このほか、「スマホ連携機能が付いた冷蔵庫」もあります。
製品によって操作できる機能はさまざまですが、温度調整をスマートフォンからできる製品もあります。外出先でもスマートフォンから庫内の温度を変更できるので、たとえば「急いで飲み物を冷やしたい」という場合などに活用できるでしょう。
このように、冷蔵庫にはさまざまな機能が付いています。冷蔵庫をより便利に使用できるよう、自分が求める機能が付いているか確認して選ぶようにしましょう。
冷蔵庫を選ぶ際は、お手入れのしやすさを確認することも大切です。
冷蔵庫は、肉・魚のドリップや野菜に付いた泥などで比較的汚れやすいものです。棚を取り外せる冷蔵庫であればお手入れがしやすく、細かい部分まできれいにすることができます。
このほか、自動製氷機能付きの冷蔵庫なら、製氷皿やタンクが取り外せるかチェックしておきましょう。取り外しが可能であればお手入れがしやすいため、衛生的な状態を維持しやすくなります。
300L台の冷蔵庫を扱うメーカーの中から5社ご紹介します。各メーカーの特徴を知って、冷蔵庫選びのご参考にしてください。なお、こちらに記載されている情報は2022年5月時点のものです。また、機種によって搭載されている機能は異なるため、購入前に必要な機能が搭載されているかを確認しましょう。
東芝の冷蔵庫は、「VEGETA(ベジータ)」シリーズに代表されるように、性能の高い野菜室が特徴です。「もっと潤う摘みたて野菜室」搭載モデルでは、約一週間野菜の鮮度をキープすることができるとされています。
東芝の冷蔵庫一覧を見るアクアは、大型サイズから小型冷蔵庫までラインナップが充実しているメーカーです。そのため、自分に適した大きさの冷蔵庫が見つけやすいでしょう。また、シンプルなデザインの冷蔵庫が多いため、インテリアを損なうこともありません。 そんなアクアの一部機種には、おいしさを閉じ込めて鮮度を保つ「おいシールド冷凍」が搭載されています。食材の食感や風味を損なうことなく鮮度を維持することが可能です。
アクアの冷蔵庫一覧を見る日立の冷蔵庫は、肉や魚を長持ちさせる機能に優れているのが特徴です。 たとえば、一部機種に搭載されている「まるごとチルド」は、冷蔵室全体を約2℃にすることで、冷蔵室内のどこに置いても食材の鮮度を保てる機能です。水分をたっぷり含んだうるおい冷気で冷蔵室内の湿度低下を抑制するので、食材の乾燥を抑えます。
日立の冷蔵庫一覧を見るシャープといえば、「プラズマクラスター」ですが、冷蔵庫の一部機種にもプラズマクラスターイオン発生ユニットが搭載されています。プラズマクラスターによりきれいな冷気を循環させて冷蔵庫内を清潔に保ちます。 このほか、シャープの冷蔵庫には「どっちもドア」が採用されたモデルもあります。左右どちらからでもドアが開くため、設置場所が限定されにくいのが特徴です。
シャープの冷蔵庫一覧を見る三菱は、スマホ連携やAI機能など、使い勝手に優れた機能が充実しているメーカーです。一部機種の冷蔵庫には「切れちゃう瞬冷凍A.I.」という、冷凍した食材を解凍なしですぐに使うことができる、という機能が搭載されています。凍っている肉もそのまま切り分けられ、野菜も食感やおいしさそのままで保存できます。 さらに、一部機種には「氷点下ストッカー」機能が搭載されています。氷点下なのに凍らせない三菱独自の技術で、肉や魚を生のままおいしく長く保存できます。
三菱の冷蔵庫一覧を見る300L前後の冷蔵庫は種類が豊富なため、どれを選べばよいのか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。
以下のリンクでは、300L前後のおすすめの冷蔵庫をご紹介します。ぜひご参考にしてください。
冷蔵庫を正しく使用するためにも、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
冷蔵庫は小さいサイズのものでもそれなりの幅を取ってしまいます。そのため、スペースを有効活用しようと冷蔵庫の上に物を置く方もいらっしゃるでしょう。
しかし、冷蔵庫によっては放熱部分が上部にあるため、物を置いてしまうと放熱を妨げてしまい余計な電力を消費することになってしまいます。
また、天面部分が耐熱トップテーブルでない場合、電子レンジやオーブンレンジ、トースターを冷蔵庫の上に置いて使用すると、その熱によって冷蔵庫が故障する恐れがあります。くわえて、地震などにより上に置いたレンジやトースターが落下する危険性も考えられます。そのため、冷蔵庫の上に物を置くのはできれば避けたほうがよいでしょう。
仮に冷蔵庫の上に物を置く場合は、冷蔵庫の上部と物の間に隙間を作り放熱スペースを確保するようにしましょう。
また、同様に冷蔵庫のすぐ近くに物を置くのも、できるだけ避けましょう。冷蔵庫の周囲に物を置いてしまうと、それが妨げとなりうまく放熱できず、冷却力が低下し余計な電力を消費する可能性があります。もし冷蔵庫の周辺に物を置くのであれば、放熱スペースは必ず確保するようにしましょう。
冷蔵庫を使用する際は、食材や飲料品を詰め込みすぎないようにしましょう。詰め込みすぎてしまうと、冷気の流れが悪くなり、食材や飲料品を効率よく冷やせなくなってしまいます。
また、詰め込みすぎの庫内を冷やすために冷蔵庫が余計に稼働し、消費電力が高くなるほか、冷蔵庫の心臓部であるコンプレッサーにも負荷がかかります。これらは冷蔵庫の寿命を縮めてしまう原因になるため、食材や飲料品を詰め込みすぎないよう十分注意しましょう。
冷蔵庫に熱いものをそのまま入れてしまうと、冷蔵庫内の温度が一時的に上がり、その分消費電力が高くなってしまう可能性があります。熱いものはそのまま入れないようにしましょう。
冷蔵庫を使用する際、必要以上にドアを開け閉めしないことも大切です。
ドアを長く開けていると冷気が外に逃げてしまうため、冷蔵庫内の温度が高くなってしまいます。そうなると、冷蔵庫内の温度を下げようと余計に稼働し、コンプレッサーに負荷がかかります。消費電力が高くなるだけでなく冷蔵庫の寿命を縮めてしまいかねないので、ドアの開閉は最小限にし、食材や飲料品の出し入れは素早く行うようにしましょう。
冷蔵庫を長持ちさせるためにも、平均使用年数とお手入れ方法を押さえておきましょう。
「消費動向調査 2023年3月 内閣府調べ」によると、冷蔵庫の平均使用年数は約13年です。ただし、これは「冷蔵庫の寿命が平均13年」という意味ではありません。あくまでも平均的な使用年数を表しており、冷蔵庫の寿命は使い方によって変動するため、一概に明言することはできません。
とはいえ、冷蔵庫が使えなくなってしまうと困ってしまうため、寿命サインを押さえておくようにしましょう。
寿命が迫っている冷蔵庫には、主に以下の3つのサインが見られます。
1つ目は「冷蔵庫内が冷えない」というサインです。冷蔵庫内に食材や飲料品を詰め込んでいないのにもかかわらずなかなか冷えない場合は、不具合が起きている可能性があります。
2つ目は「冷蔵庫から水漏れがする」というサインです。冷蔵庫内には霜が溶けた際の水を溜める蒸発皿がありますが、壊れていたりホコリが溜まっていたりすると水漏れが起こることがあります。そのため、まずは蒸発皿が壊れていないか、蒸発皿にホコリが溜まっていないかをチェックしましょう。とくに問題がないようであれば、冷蔵庫の寿命が近い可能性があると考えられます。
3つ目は「冷蔵庫から異音がする」というサインです。冷蔵庫からこれまで聞いたことがないような異音がした場合は、不具合が起きている可能性があります。
なお、冷蔵庫の寿命に関しては以下の記事で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
冷蔵庫の寿命はどれくらい?平均使用年数や長持ちさせるコツを徹底解説!
冷蔵庫を長持ちさせるため、そして衛生的に保つためにも、冷蔵庫は定期的にお手入れすることが大切です。
場所や部品によって方法が異なりますが、水拭きが可能な箇所はよく絞ったタオルで汚れを拭き取りし、固いブラシや研磨スポンジ、アルコールなどは冷蔵庫を傷付けてしまう可能性があるので、避けた方がよいでしょう。
なお、電源プラグにホコリが付着している場合は、漏電を防ぐためにも乾いたタオルなどで拭き取ります。
まずはお掃除を始める前に冷蔵庫の取扱説明書をチェックしておくとよいでしょう。
300L台の冷蔵庫の利用人数は2〜3人が適しています。ただし、ライフスタイルによっては同じ利用人数でもより大きな容量の冷蔵庫が必要な場合もあります。
ご自身の生活に合った冷蔵庫を選ぶためにも、今回ご紹介した選び方のポイントは前もって押さえておくようにしましょう。また、購入した冷蔵庫を長く使用するためにも、正しい使い方を押さえておくことが大切です。