エアコンを使用中、いつもと違う聞き慣れない音がすると「故障かな?」と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。とくにその音がうるさいと感じる場合、より一層、故障や寿命を疑ってしまうと思います。しかし、うるさいと感じるほどの音がしていても、実は正常の範囲だったという場合もあります。
この記事では、エアコンからする異音の原因について解説します。エアコンがうるさくて心配な方は、ぜひ参考にしてみてください。
エアコンの音がうるさいと感じた場合でも、故障ではなく正常な運転音の可能性もあります。そのため、エアコンから大きな音がしているときは、まずはどこからどのような音がしているのかを確認してみましょう。そうすることによって、音がしている原因を突き止めることができるかもしれません。以下でご紹介する音の例や原因はひとつの目安として参考にしてみてください。
まずは室内機から音がする場合の原因についてみていきましょう。近年は静音設計のエアコンが増えているため、室内機から音がすると何らかのトラブルを疑う方もいますが、実は正常な運転音であるケースも多いようです。
以下、室内機から音がする主な原因となります。以下でひとつずつ詳しく紹介します。
運転直後に、室内機から「カタカタ」という部品同士がぶつかるような音がする場合は、室外機にある「電磁弁」と呼ばれる部品が開閉するときの音である可能性があります。電磁弁とは冷媒を遮断したり流入させたりする役割を担っている部品のことをいい、この電磁弁が開閉するときに聞こえる「カタカタ」という音であれば、正常の範囲内といえます。エアコンを運転してしばらくすると音が消えるのであれば、それほど気にしなくてもよいでしょう。
しかし、もし運転から時間が経っているのに音が消えない場合は、フィルターやフロントパネルなどの内部部品が正しく取り付けられていない可能性もあります。一度エアコンの電源を切り、フィルターやフロントパネルが正しく取り付けられているかを確認しましょう。
室内機から「バサバサ」といった風を切るような音がする場合は、室内機のファンの回転数が変わるときの音の可能性があります。室内機はファンの回転数を変えてパワーを調整しているため、室内の温度と設定温度の差が大きくなるほどたくさんのパワーが必要になり、ファンの回転数も上がってうるさく感じます。ただこの場合は温度が一定になったら音が消えるため、しばらく待ってみるとよいでしょう。このほか、室外機の周りに物を置いていて運転効率が悪くなるほどファンの回転数が上がり、うるさく感じることもあるようです。
室内機内部から「シャー」「プシュー」などの水が流れるような音がする場合は、配管の中を冷媒ガスが流れているときの音の可能性があります。冷暖房の運転中にこれらの音が聞こえたら、しばらく待ってみるとよいでしょう。使用しているメーカーや製品によっては、頻繁に冷媒の流れの切り替えが行われることで、これらの音が聞こえやすくなることもあるようです。
このほか、暖房を停止したあとに聞こえる場合は、霜取り運転をしている可能性があります。
エアコン自体から「パキッ」「ピシッ」といったプラスチックが割れたような音がする場合は、温度の変化によって室内機の樹脂部分が伸び縮みするときの音の可能性があります。とくにエアコンを稼働させた直後や停止させたあとは、温度変化が大きいためこれらの音が聞こえやすくなることもあります。温度が一定になると樹脂部分の状態が安定して音は止まるので、しばらく待ってみましょう。
自動掃除機能がついているエアコンから「シャー」「バサッ」「ゴー」というような音がする場合は、エアコン内部で埃をブラシでかきとったり、排出していたり、室内機のファンを掃除しているときの音の可能性があります。ファンを掃除しているときの音であれば掃除が終わると音が止まるため、しばらく待ってみましょう。なかには「音が気になるから」といって自動掃除機能を止める方もいますが、自動掃除機能を止め続けているとホコリが溜まり続けることになります。そうすると、エアコン内部を清潔に保ち続けることができなくなり、イヤな臭いやカビの発生原因となる可能性もあります。音が聞こえたからといってすぐに止めようとするのではなく、自動掃除機能の作動音なのか、そうでないのかを見極めるようにしてください。メーカーや製品によって掃除の際の音は異なる場合があるため、何度か作動音を確認するとよいかもしれません。もし「いつもより音が大きい」または「いつもと違う音がする」という場合は、専門業者に確認してもらいましょう。
エアコン内部より「ポコポコ」「ポンポン」といった音がする場合は、ドレンホースが原因の可能性が考えられます。ドレンホースとは、エアコン内部にできた結露水を外に排水するためのホースのことです。このドレンホースに外からの空気が流入すると、「ポコポコ」「ポンポン」といった空気が水中を移動しているかのような音が生じることがあります。これは室内と外に気圧差があるときに起こりやすい現象です。室内の気圧が低いと外気が室内にドレンホースを通して入り込み、その空気が結露水の受け皿であるドレンパンを通る際に内部の結露水に当たって音が出るのです。この場合、室内の気圧を高くして外との気圧差をなくせば音は止まるので、窓やドアを開けて換気するとよいでしょう。
もしそれでも音がやまない場合は、空気が入り込まないようにドレンホースの排水口の向きを変えるのも一案です。また別売りにはなりますが、エアーカットバルブを取り付ければ空気の侵入を防ぐことができます。これらの方法を試しても音がやまないときは、専門業者へ依頼することをおすすめします。
次に室外機から音がする場合の原因についてみていきましょう。
室外機は室内機とは違い運転中の音を聞く機会が少ないため、「これが正常な音なのかわからない」と感じる方もいらっしゃるかと思います。そこで室外機については、原因となる状況について説明します。
室外機においても室内機と同様、使用しているメーカーや製品によって音が変わる可能性があるため、ひとつの目安として参考にしてみてくださいね。
室外機が平らな場所に設置されていなかったり、固定されていなかったりする状態でエアコンを作動させると、振動で床や壁に室外機が当たって音がすることがあります。室外機は平らな場所にブロック(プラロック)を設置して、その上に室外機を置いて固定させるのが一般的です。室外機から壁や地面にぶつかるような音が聞こえるときは室外機が水平な状態で設置されているか、しっかり地面に固定されているかを確認してください。
室外機は常に屋外にあるため砂や落ち葉などが入り込みやすくなっています。砂や落ち葉などが室外機の中に入り込んでしまうと、それらの入り込んだ物が室外機の部品と当たって音が出てしまう場合があります。そのため、まずは室外機を掃除して音が止まるかどうかを確認しましょう。ただし、内部までは掃除することができないため、内部まできれいにしたい場合は専門業者へ依頼が必要です。
このほか、室外機の裏側にある金属部分(フィン)にホコリなどが溜まることで異音が発生していることもあります。定期的にフィンがホコリにより目詰まりを起こしていないかチェックすることをおすすめします。もしホコリが多いと感じる場合は、歯ブラシなどの柔らかいブラシで取り除いて音が静かになるかを確認しましょう。ただし、フィンの金属は柔らかく曲がりやすくなっているため、ホコリを取り除く際は注意してください。
室内機と同様に、室外機から「バサバサ」「ブーン」というような大きな音が聞こえる場合は、ファンの回転音である可能性があります。室外機はファンを回転させることで稼働していて、出力が大きいほどファンの回転数が増える仕組みです。
そのため、室外機の近くに植木鉢や自転車などの物を置いていると、空気の通りが悪くなり運転効率が落ちることで、その分をカバーしようとエアコンがフルパワーで稼働することに……。その結果、稼働音が大きくなってうるさいと感じることがあるようです。もし室外機の周辺に物を置いている場合は、室外機から離して置くか、ほかの場所に片付けるようにしましょう。とくに室外機正面の排気口の近くには物を置かないように注意してください。
今回ご紹介した内容を参考にしても「音の原因がわからない」「音が鳴り止まない」「試してみたけれど効果がない」という場合は、エアコンが故障している可能性が考えられます。故障の場合は自分で直すことができないため、専門業者へ依頼して修理してもらうか、長く使っているなら買い替えを検討するのもよいかもしれません。専門業者へ依頼する際は、どこからどのような音がするのかある程度伝えられるようにしておくことをおすすめします。
アパートやマンションなどの賃貸物件に、すでにエアコンが備え付けられていることがあります。備え付けのエアコンにトラブルがあった場合、自分で専門業者に修理依頼をするものだ、と思っている方も多いと思いますが、備え付けの場合、その所有者は貸主=大家さんや管理会社になります。よって修理費用などが貸主の負担となる場合もあります。
もし、貸主に許可を得ずに修理を行った場合、修理代は自己負担になるだけでなく、修理によってさらに状態が悪化した場合の責任も問われる可能性があります。
トラブルを防ぐためにも、業者へ修理の依頼をする前に、まずは貸主である大家さんか管理会社へ連絡をしましょう。
なお、入居前からエアコンが備え付けられていても、実は前に住んでいた方が置いていったもの、といったケースもあります。本来なら前の入居者が処分するか、引っ越し先へ持っていくのですが、なかには置いていってしまうこともあるようです。その場合の所有者は貸主ではないこともあるため、故障した場合も貸主に責任はありません。つまり、修理を行う際も貸主の許可を得る必要がないのです。
賃貸物件にエアコンが備え付けられている場合、どちらのパターンなのかを確認しておきましょう。入居時の契約書を確認するか、もし契約書に記載されていなければ貸主に問い合わせてみるとよいでしょう。
エアコンから音が聞こえると多くの方が「もしかして故障……?」と考えてしまいますが、故障ではなく、正常な範囲であることも多いようです。しかし、不具合や故障による異音なのか、正常な範囲なのかは個人で判断することは難しいものです。まずは今回ご紹介した内容を参考にどこからどのような音がしているのかを確認してみて、それでも判断がつかず気になる場合は、専門業者へ問い合わせてみるのがよいでしょう。むやみに自分で対処しようとすると故障につながることもあるため、あまり自分では触りすぎないようにしてください。
なお、定期的に稼働中の音を確認しておくと異音にすぐに気づくことができるかもしれないので、意識して聞いてみることをおすすめします。